ヘッドホンのケーブルを換えて測定してみる
Q.ヘッドホンケーブル交換による音質向上はどの程度見込めるのでしょうか?
A.全然知りません。今度は電気的な応答も測ってみます?
ということで、
また怒られそうな気もしますが
測定します。
とはいえ、過去に周波数特性は測定誤差程度の変化しか無さそうなことは測っていますので、
今回はインピーダンス特性、位相特性をチェック!
※【注意】自分のmobius2は長さ「1.5m」で、標準ケーブル(3m)よりも短い点にご注意をしつつ、ご覧ください。
また、測定条件はおおよそ以下です。
測定条件:
・PC+CLIOwinfw(192k/sモード)のLogChirpで測定しました。
インピーダンスアナライザやネットワークアナライザのような高価な専用機ではなく、汎用のオー
ディオアナライザなので、測定誤差はそれなりにあると思います。
・測定時には、ヘッドホンは机の上に置いて測定しました。
(頭に装着しながら測定したわけではない)
【対決その1】
mobius2(1.5m) vs. 標準ケーブル(3m)
・・・うむ。
では、いつものように手前勝手な俺考察をしてみます。
まずmobius2(1.5m)。
HD650本体のコネクタに測定プローブ直結した測定値と大差なく、なかなか優秀に見えます。
対して、標準ケーブル(約3m)。
20kHz(オーディオ帯域の上限ギリギリではありますが・・・)で、
インピーダンスはmobius2よりも約2.8オーム高く、位相はmobius2よりも約1.8度遅れている。
(インダクタンス増加のためか?)
・・・・とはいえ、
たったこれっぽっちの違いなの?
という気もします。
10Hz〜10kHzについてはインピーダンスも位相も測定誤差程度の差としか言いようがありません。
加えて言えばHD650のインピーダンスは、ほぼ全オーディオ帯域で300オーム以上ですので、
アンプ側から見れば、20kHzで2.8オーム程度変化したところで1%以下の違いでしかない。
さらに20kHzという高域での位相が1.8度遅れている、というのを人間が検知できる場面はそうそうないように思う。
(ありうるとしても、相当に特殊な状況かと思われます。)
【俺ジャッジ】
mobius2(1.5m)の方が、標準ケーブル(3m)よりは高域の特性は僅かに良好。
しかしながら、可聴範囲ギリギリの20kHzにおいてさえも、1%未満の音圧変動と、1.8度の位相の改善であり
人間がこの違いを検知できるのか不明。
群遅延時間について、mobius2と標準ケーブルに差はないですね・・・
【対決その2】
mobius2(1.5m) vs. 標準ケーブルちょっと切り詰め品(1.5m)
上記の結果を受け、
「ヘ〜イ!長さが違うのはフェアじゃあないYO! 標準ケーブルをmobius2の長さ(1.5m)に合わせてみるべき!」
というのは一理あるように思いますので、過去に自分が作ったものがありますので測定してみました。
(単に3mは自分には長すぎたので、チョキンと半分に切ってハンダでプラグをくっつけただけ)
厳密にはプラグ部分は
秋葉原のラジオデパートで150円くらいで買ってきた、かなり安価な部類のプラグ
を使っています。
なので、接触抵抗の点では、標準ケーブルの方が若干不利かも。ニッケルメッキだしな。(汗)
(たぶん、マル信無線電機/MP-115M。思いっきりプラスチッキー。でも軽いので使い勝手はいいですよん。)
では、早速測定結果。
今度は、
ずいぶんmobius2に肉薄しています
。
・・・材料費たったの150円ですが(プラグ代@秋葉原)。
嗚呼、半田ごてを使うものは幸いなり。
・・・で
20kHzで比較してみると
インピーダンスは
mobius2が363.7Ω、標準ケーブル改造品が362.3Ωで、ほぼ同じかむしろ改造品の方が優秀。
位相は
mobius2が23.50度、標準ケーブル改造品が22.94度で、0.56度程度の僅差。
・・・っていうか測定誤差程度。
【俺ジャッジ】
30kHz以上(超音波!)では若干mobius2の方が僅かに特性が良いようにも見えるが、
50kHzで4.8Ω(約1.0%)の差と、位相1.7度程度の違いしかないように見える。
(標準ケーブル改造品は、プラグが相当安価なものに付け替えられている点にも留意されたし。)
【俺最終ジャッジ】
以上2つの対決を持ちまして、
俺的な結論を出して見ます。
・ケーブルの構造がよっぽど酷くなければ、単位長さあたりのインダクタンスやキャパシタに極端な差はなく、
「長さが一番効く」
というところではないでしょうかと推測いたします。
・また、低域・・というか10kHz以下については、測定誤差程度の差しか無いように見える。
つまり低域にはなんら効果なし、に見える。
・ケーブルでオーディオ帯域(20〜20kHz)での電気的な特性を「向上」させることは、ほとんど出来ない。
(本体のコネクタ直結の場合と比較しても、標準ケーブルでもインダクタンス、キャパシタンスの差も僅少)
==========================
おまけ
ヘッドホン装着・非装着時のインピーダンス特性の変化について(HD650編)
装着した場合に以下が観測されました。
・最低共振周波数(TSパラメータでfsとかf0とか言うやつですね)が、95Hz→82Hzと13Hz程度低域側にシフトしている。(※)
・f0共振のQ値も低下している。(空気による制動UP!かな?)
・位相の変化がより滑らかになっているように見える。
・群遅延時間についても遅延時間低下と周波数低下が見受けられ、良化しているように見える。
(まあ・・・そもそも200Hz以下で0.1msec程度の群遅延時間って、完璧すぎて全く問題にならないレベルと思いますが・・・)
(※)自分は事前には装着すると、振動系は「硬く」なりfsの周波数は「上がる」ものと思っていましたが、
測定結果は逆にfs下がってますね・・・
むしろ空気は質量として効いているのかしらん?誰か教えてくだちい。
装着した方が、電気的な応答としては「より良い」感じになってますね。
つまり、電気的な応答においても
「ヘッドホンはいい加減に装着すると、あんまり音質的にも良くないよん」
・・・ということが言えそうです。
あんまり神経質になる必要も無いとは思いますが、装着の際にほんの少しの時間(数秒〜数十秒程度)
きちんとフィットしているのか否か、気をつけると良いかと思います。
あとは著しく劣化して、空気漏れを引き起こすようなパッドは交換すべきと思います。
ケーブル交換と比べても確実な効果があると思いますよ。
戻る