【5.今回の測定した理由と、俺解釈など】
相も変わらずデタラメも多いかと思いますが、そんなところにはピシャリと突っ込みをよろしくお願いいたします・・・出来れば具体的だとありがたいです。
【測定した理由】
大型のヘッドホンについて、エージングの効果を測る際の問題点は、兎にも角にも「不安定なイヤパッドを介して測定する」ことによる測定精度の不足だと思いまする。
過去に開放型のヘッドホンで測定はやってみたのですが、比較的測定毎の誤差が少ない開放型でも、イヤパッドを介在する限り、高域で数dB程度の測定誤差は避けられない。
これでは到底エージングの差などわかりません。
そういうわけで今回はドライバー単体について、「ドライバー単体の方が測定がシンプルだし、変動するパラメータが少ないことから、より変化の核心にせまれるかも?」という単なる思いつきで測ってみた、という内容でありました。
結果的には、今回のように比較的いい加減な測定でも(・・・と言っても、擬似無響室測定、アベレージングといったノイズ削減の対策はしましたが・・・)、ドライバー単体だと測定誤差は±0.2dB以内(ただし今回は80Hz以下はダメでしたね)には確保出来ているようです。このくらいの精度があれば、ギリギリ効果は測定できそうです。
なお「ちゃんとハウジングへ組み付けてない状態ではエージングの効果は違ってくるのでは?」という指摘はごもっともです。
しかしながら、ドライバー単体の方が振動板の背圧が圧倒的に軽く、より活発に動く状態になっている筈でありますので、
「ドライバー単体の方がより強力にエージングされる」ものと思われます。ですので振動板に対するエージングの効果の最大値を観察するには不都合は無いものと考えた次第です。
【測定結果の俺解釈など】
今回の観察のナゾについて、俺解釈を以下に書いてみます。
まー、全然マチガイかもしんないですけど。
MDR-900STのドライバーは、単一支持のソフトドーム型と良く似た構造をしており、エッジ(タンジェンシャル型)と振動板が一体成型された薄い高分子材料のようです。(PETかしらん?)
(1)fsが変化や、Q値の変化が極めて少ない理由について:
振動板の「エッジ(SURROUND)」のバネ性や機械抵抗は殆ど変化していないものと考えられる。
変化しにくい理由としては、以下2点ではないか?と推測します。
@ラウドスピーカーのようなダンパー(SPIDER)が無く、エージングされる対象のサスペンション系はエッジしかないが、
このエッジはヘッドホンでは振動板と一体成型されており、明確な境界もなく比較的安定な状態と思われる点。
Aバネ性や機械抵抗への寄与は、エッジよりも振動板背面の空気の比率が高く、多少エッジの機械的な特性が変化しても影響があまり大きく出ないかも?と思われる点。
なお、一般的にムービングコイル型のラウドスピーカーでは、概ねダンパーがバネ性の80%、残り20%のバネ性をエッジが受け持っているといわれているそうです。
(LoudSpeaker Design CookBook 7th edition/Vance Dickson P.10)
なので、大口径のラウドスピーカーについては、ブレークインによるfsの低下(10%程度変わることもある)の原因としては、ダンパーの柔軟性向上による寄与が大きいものと憶測します。
(2)350Hz近辺の音圧変化が50時間程度で一旦大きくなって、100時間を越えるとまた小さくなってしまった理由:
原因不明。これは自分には原因ワカンナイです。単に測定系の問題かもしれませぬがそれにしては350Hz近辺で局所的すぎるような印象です。
原因は分からないですが、350Hz前後は(少なくともドライバー単体では)振動板がロッキングモーションをしているらしいところあり、それなりに複雑な要因があるのでは?と憶測します。
例えば、ボイスコイルとギャップの摩擦などもあったりしないかしらん?と思ったりします。奥が深そうな感じがします・・・。いや単に俺印象ですけど。
全体的には「変化は極めて微小」と言える範疇だと思うのですが、これは俺主観なので余計なことかもしれませぬ。
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