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エージング野郎 CD900STのドライバー編
2009/5/2改訂


「またか」


といった様な率直なご意見もあろうことかと思いますが、

不安定なイヤパッドを介さずに、ドライバー単体のフリーフィールド測定ならば結構精度出るかもよ?
・・・ということをやってみますた。



【1.概要】

MDR-CD900STのドライバー単体について、エージング(ブレークイン)の効果を観察をしてみる。(150時間)

150時間という半端な数字の理由については、当初300時間くらいやろうかと思ったんですけれど、
なんかもうとてつもなく面倒・・・っていうかあんまり長くて途中で死んじゃうかもしれないので中間報告しとこうという理由です。

(300時間程度までの延長と、途中の変化量、他の個体でのバラつきの観察は後日追加したいと考えている次第であります。中途半端だなあ・・・)


観察内容は毎度お馴染み、周波数応答(f特性)と、インピーダンス特性であります。(いずれもCLIOfw使用)
観察はドライバー単体で音を鳴らして、10mmの距離でマイクで音圧を観測してます。(マイク=Erthworks M30、ヘッドホンアンプ=m902)
今回はちょっと気合をいれてマイクのグレードを上げてみました。




お約束の、忙しい人のために結果からどうぞ

【2.俺結果】

MDR-CD900STのドライバー単体でエージングを150時間実施した結果の変化は以下の通りでした。

・周波数特性の変化は、3407Hzの局所的なグリッチ部分で-1.0dB程度の変化があるように見えるものの
 上記以外の全ての帯域(80Hz〜20kHz)では、±0.5dB未満の音圧変化しか発生していないように見える。

・インピーダンス特性については、最低共振周波数(fs)は115.63Hz→114.76Hzと0.87Hzの変化があった


以上の結果を俺主観で一言でいえば、
「変化しなさすぎ」・・となります。

さらに付け加えるならば、また怒られそうな予感もいたしております。どよ〜ん。








【2009/5/2追加】
その後も鳴らし続け、エージングを500時間実施した結果

3週間=504時間エージングした結果です。

・・・・バカじゃん。俺。

そして、さすがに3週間も経ってると、なんかもう季節も微妙に移り変わっちゃってるし
温度、湿度、マイクやドライバーの微妙な固定状態の変化なんかが発生して、測定誤差は拡大していることでありましょう。

つか、はやくデシケーターに戻さないとマイク自体の経年劣化の方が心配(泣)


泣き言はこれくらいにしまして、以下結果!


・周波数特性の変化は、
 300Hz以下の低域が0.2dB程度増えているようにも見える。
 340Hz前後のグリッチ部分(RockingMotion部分?)は0.5dB程度スムーズになっているようにも見える。
 3407Hzの局所的なグリッチ部分で150時間の時と相変わらず-1.0dB程度の変化があるようにも見える。
 14278Hz前後のディップ(谷)部分で±1dB弱程度の変化があるようにも見える。
 上記以外の全ての帯域(80Hz〜20kHz)では、±0.5dB未満の音圧変化しか発生していないように見える。

・インピーダンス特性については、最低共振周波数(fs)は115.63Hz→114.76Hzと0.87Hzの変化で、150時間エージングから変化なし。


以上の結果を俺主観で一言でいえば、
「変化が少なすぎて測定誤差なのかわからん」

もうヒトコト言わせてもらえば
「150時間でやめといた方が良かったかも」










お暇がある方は以下どうぞ。



【3.測定精度(誤差)について】

周波数特性と、インピーダンス特性を各10回測定し、測定誤差を大まかに推定しました。

本当は標準偏差を出してクールにいきたいところですが、めんどry


・周波数特性の測定精度:±0.2dBくらい。
・インピーダンスの測定精度:±0.2オームくらい。

・・・かな?と思います。





【4.今回エージングに使った音源について】

え〜と・・特に根拠ありませんが、

・大振幅が出る低周波を含んでいた方が、より振動板がこなれやすかろう。
・とはいえ、全帯域でそれなりに振動させたいんですよ。
・矩形波、サイン波、ホワイトノイズはちょっとカンに触る音だからイヤ。

・・・という、俺要件から
「20Hzのサイン派+ピンクノイズの合成波」(下図の(C))をエージング用音源として採用してみました。
(「サー」っというちょっと雨音っぽい音です。・・・まあうるさいことには変わりないですけどね。)

まあ、「なんとなく・・・」以外のなにものでもありませんので、悪しからず。




合成


こいつを今回のエージング用の音源波形としました。



具体的には
WaveGeneで下記のように設定して生成してます。


どうでも良いですが使ってるバージョン古いぞ、俺。


この波形をPC→SPDIFでm902へ送り、ボリューム「82.0」(ノーマルゲイン)で再生してエージングさせました。

なお、この音量は上記WaveGeneの設定でWavファイルを作った場合に、
iPod(5.5G Classic)の場合、ほぼフルボリュームに近い95%程度の音量で再生したのと同じ音量となります。

かなり大きめの音量といえるのではないかと。

・・・結構ウルサイです。



【5.今回の測定した理由と、俺解釈など】

相も変わらずデタラメも多いかと思いますが、そんなところにはピシャリと突っ込みをよろしくお願いいたします・・・出来れば具体的だとありがたいです。


【測定した理由】
大型のヘッドホンについて、エージングの効果を測る際の問題点は、兎にも角にも「不安定なイヤパッドを介して測定する」ことによる測定精度の不足だと思いまする。
過去に開放型のヘッドホンで測定はやってみたのですが、比較的測定毎の誤差が少ない開放型でも、イヤパッドを介在する限り、高域で数dB程度の測定誤差は避けられない
これでは到底エージングの差などわかりません。

そういうわけで今回はドライバー単体について、「ドライバー単体の方が測定がシンプルだし、変動するパラメータが少ないことから、より変化の核心にせまれるかも?」という単なる思いつきで測ってみた、という内容でありました。

結果的には、今回のように比較的いい加減な測定でも(・・・と言っても、擬似無響室測定、アベレージングといったノイズ削減の対策はしましたが・・・)、ドライバー単体だと測定誤差は±0.2dB以内(ただし今回は80Hz以下はダメでしたね)には確保出来ているようです。このくらいの精度があれば、ギリギリ効果は測定できそうです。

なお「ちゃんとハウジングへ組み付けてない状態ではエージングの効果は違ってくるのでは?」という指摘はごもっともです。
しかしながら、ドライバー単体の方が振動板の背圧が圧倒的に軽く、より活発に動く状態になっている筈でありますので、
「ドライバー単体の方がより強力にエージングされる」ものと思われます。ですので振動板に対するエージングの効果の最大値を観察するには不都合は無いものと考えた次第です。


【測定結果の俺解釈など】
今回の観察のナゾについて、俺解釈を以下に書いてみます。
まー、全然マチガイかもしんないですけど。

MDR-900STのドライバーは、単一支持のソフトドーム型と良く似た構造をしており、エッジ(タンジェンシャル型)と振動板が一体成型された薄い高分子材料のようです。(PETかしらん?)

(1)fsが変化や、Q値の変化が極めて少ない理由について:
振動板の「エッジ(SURROUND)」のバネ性や機械抵抗は殆ど変化していないものと考えられる。
変化しにくい理由としては、以下2点ではないか?と推測します。

@ラウドスピーカーのようなダンパー(SPIDER)が無く、エージングされる対象のサスペンション系はエッジしかないが、
 このエッジはヘッドホンでは振動板と一体成型されており、明確な境界もなく比較的安定な状態と思われる点。
Aバネ性や機械抵抗への寄与は、エッジよりも振動板背面の空気の比率が高く、多少エッジの機械的な特性が変化しても影響があまり大きく出ないかも?と思われる点。

なお、一般的にムービングコイル型のラウドスピーカーでは、概ねダンパーがバネ性の80%、残り20%のバネ性をエッジが受け持っているといわれているそうです。
(LoudSpeaker Design CookBook 7th edition/Vance Dickson P.10)
なので、大口径のラウドスピーカーについては、ブレークインによるfsの低下(10%程度変わることもある)の原因としては、ダンパーの柔軟性向上による寄与が大きいものと憶測します。


(2)350Hz近辺の音圧変化が50時間程度で一旦大きくなって、100時間を越えるとまた小さくなってしまった理由:
原因不明。これは自分には原因ワカンナイです。単に測定系の問題かもしれませぬがそれにしては350Hz近辺で局所的すぎるような印象です。
原因は分からないですが、350Hz前後は(少なくともドライバー単体では)振動板がロッキングモーションをしているらしいところあり、それなりに複雑な要因があるのでは?と憶測します。
例えば、ボイスコイルとギャップの摩擦などもあったりしないかしらん?と思ったりします。奥が深そうな感じがします・・・。いや単に俺印象ですけど。


全体的には「変化は極めて微小」と言える範疇だと思うのですが、これは俺主観なので余計なことかもしれませぬ。




【6.ヘッドホンのエージング(ブレークイン)に期待できるものとは何ぞや?】

期待される効果については、ラウドスピーカーの例が参考になるかも。

ラウドスピーカーにおける、「エージング」「バーンイン」「ブレークイン」とも呼ばれるものは、どのようなものなのか文献を調べてみると、以下のような記載あり。

(参考にしました文献はこちら。)


ラウドスピーカーにおけるブレークインの効果と方法(主に比較的口径の大きいフルレンジとウーファー):

【効果】
・ドライバーのサスペンションシステム(具体的にはスパイダーと、サラウンド)が柔軟になる。
・サスペンションが柔軟になると、バネ定数、ダンパー係数が適度に和らぎ、平衡状態となるまで最低共振周波数fsの低下とQの低下が発生する。
・ブレークインの効果については、非常に微妙なものであり、最低共振周波数fsこそ10%程度も低下することがあるものの、Qtsも同様に降下することから、
 多くのウーハーについてはfs/Qtsの比が殆ど変化せず、このためボックス内にセットした場合にはブレークインの効果は極めて小さくしか現れないことが多い。
 (カットオフ周波数が殆ど変わらない)
・ブレークインの目的は、エッジの接合その他の欠陥を早期に発見することにもある。

【方法】
ブレークインは普通に音楽を聴くうちに自然に達成されるものだが、(エンクロージャの設計などを目的として)強制的かつ短時間に達成したい場合には、20Hz〜25Hz程度※の極めて低い周波数を適度な音量で(過度な音量でのドライブは危険!)数時間〜数十時間程度ドライブすることによって達成される。WaveGeneなどでPCサイン波を作ってやるのが最も簡単だと思いまス。
(※20Hz未満でも効果は当然ありかと思いますが、可聴範囲以下だと鳴っているのが分からず「ウッカリ過大入力」して壊してしまう危険性があるので気をつけた方がよいかも。)

・・・なんだか結構適当な感じもします。
結局は、厳密にやろうとすればインピーダンス特性を都度測って「概ね収束したかな?」という判断をしない限り、いつやめたら良いのかも分からないのではないでしょうか。

「もし必要な作業なら、んなのメーカーでやっといてよ。」、「いつ終えたらいいのか分からん作業なんかしたくないYO!」・・・って気が個人的にはします。


【ラウドスピーカーとヘッドホンの構造の違いは?】

ラウドスピーカーでは、スチフネス(バネの硬さに相当)の8割程度をスパイダーが受け持っているとのことであります。(文献2)

一方で通常のムービングコイル型のヘッドホンのドライバーは、ソフトードーム型と類似の構造で、エッジ(サラウンド)部分と振動板部分が一体成型されているものが殆どかと思います。
スパイダーに相当するパーツは無く、振動板自身のエッジでバネ性と抵抗性を持っている、ということかと思われ。
(振動板の後ろのプレートとの間が空気がスパイダーの代わり?にバネ/ダンパーのようになっている・・・かもしれませぬが、これは自分は良く知りません。)

以上より、ヘッドホンについてバーンインで何か変化する可能性があるとしたら、それは恐らく「振動板そのもの」となりましょう。

ソフトドーム型のように極めて薄く柔らかい素材で分割振動することを前提に作られたヘッドホンの振動板に対して、エージングの効果はどんな風に効くのか?
というのが今回の観測の主眼でございまふ。







【7.参考にした文献】

エージング(Break-in)の効果を知るために参考になるかもしれない文献です。

なお、カッコ書きや、色の強調は俺によるものです。すみません。
文献1
TESTING LOUDSPEAKERS/Joseph D'Appolito
P.17 「CHAPTER2 DRIVER TESTTING」 > 「2.6.1 TESTING PRELIMINARIES」

ドライバーのサスペンションは使用する内に緩んでいく。ゆえにその(T/S)パラメータはシフトしてしまう。この点を考慮し、テスト前に全てのドライバーはbroken-inされていなければならない。これは、ドライバーを中空に吊るし、そしてパワーアンプによって20〜25Hzの周波数レンジでドライブすることによって成し遂げられる。穏やかにコーンが移動するようドライブするレベルをセットしなければならない。オーバードライブせぬよう注意せねばならない、さもなければスピーカーに物理的ダメージをもたらすであろう。
ドライバーのbreak in には少なくとも1時間を要する。
文献2
Loudspeaker Design Cookbook 7th edition/Vance Dickason
P.195 「CHAPTER EIGHT」>「8.20 BREAK-IN」

テストに先立ち、全てのスピーカーはbroken inされなければならない。
しかしながら、これを行わなくてはいけない理由は、あなたが想像するほどには明確なものではない。
大部分のウーファーは、5から10時間ほどの間にサスペンションシステムを「柔軟に」されるが、(エンクロージャー)ボックスの設計のために用いるT/Sパラメーターへの効果は極めて少ないものである。
(中略:6.5インチウーファーユニットのbreak-in前後のインピーダンス特性実測値と、ユニットを密閉型および位相反転型のボックスに収めた際の相違についてシミュレーションした周波数特性グラフの説明アリ。)
文献3
無線と実験 No.1035 (2009/5月号)
P.144 「ブックシェルフ型バスレフエンクロージャー[設計編]」>「ユニット特性測定の準備」>「(1)エージング」

(中略)100Hz、2.83Vでエージングを行った特性変化です。(中略)
実際の変化量は(パイオニア製フルレンジユニットPE-101Aのfsである)100Hzに比べ、(fs低下は)3〜5Hz弱とごくわずかでした。
その上30分もエージングすれば、ほぼ飽和してしまいます。

(「ユニットのエージングによるFsの変化」のグラフと、「エージングによるFsの変化」の表あり。)



【8.別の個体(新品)を測定してみる】(2009/4/12追加)

色々といじってしまったMDR-CD900ST。

もはや初期の状態とズレが生じてしまっているものと思われます。

そこで「普通の状態のサンプル」(以下#2と書きます)として、もう一個CD900STを購入いたしました。

・・・なんか・・・ものすごく本末転倒のような気がしますが、悲しくなるから素にもどってはいけません。



んで、まずはこの#2について、左右のチャンネルのマッチングの程度を見るため手始めにインピーダンス特性を測ってみることにします。
がんばれ2号。いい特性だしとくれよ。

結果:






・・・・・だめじゃん。


・・・・気を取り直すと、

このインピーダンスの違いjはおそらくは、Bass-plugの音響抵抗のセットの具合の差でしょうね。
左chと比べると、右chの方がセットの具合が緩いようです。
こんだけ違えば低音の量も1dB程度は違いそう。
(今のドライバーのエージングが終わってマイクが空いたら測ってみませう。)


つーことは、です

このMDR-CD900STの個体が特に異常なサンプルでなく、左右chのこの程度の差は普通であるとすれば、
エージングよりももっと気にする声あっても良さそうなモンですが・・・

まあそういうものなのでしょう。



(続く)

・・・かも


改訂履歴

2009/04/11:新規作成
2009/04/12:【8.別の個体(新品)を測定してみる】追加
2009/05/02:「その後も鳴らし続け、エージングを500時間実施した結果」追加


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